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青森紀行ノ二

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一両編成の列車で浅虫温泉へと向かう。
一時間に一本程度の列車だからか車内は思ったより人が多い。
家族連れの旅行者と地元の人が半々といった具合で、それぞれ本やスマホで暇を潰しているようだ。
会話は少なく列車の音が響く。

窓の外は白く曇っている。

偶然にも九州へ出張していたことで、
東京での雪を体験しそびれた身からすると尚更新鮮な景色である。
列車から見える家々には人がいる気配は感じられない。
雪が音と共に吸い取ってしまったのだと思う。
静かとは趣の違う静寂さを見る。
目的地へ向かう最中、列車が駅に停まる度、僕はボタン式のドアを愛おしく感じる。

大抵の都会人はその存在を秒速五センチメートルで認めただろうが、私はその前に群馬へ旅行に行った際、すでに出会っていた。 初めて出会った時、戸惑ったことは言うまでもない。

ボタンを押してドアを開ける、閉める、ただそれだけのことに人の意思を感じるからか気を向けてしまう。
時折人が乗り込み冷えた外気が入り込むものの、閉め切られた室内はむしろ都会よりも暖かい。

窓の外は白く曇っている。

北国に来たのだ。